インタビュー!『訪問する床屋さん くるみ』 

訪問日:2023.11.16

「○○さん、バリカン使いますね!」「△△さん、これ好きなんですよね!」
カットしている方にはもちろん、周りの方にも明るく声をかけながらカットを進めていくのは、

「訪問する床屋さん くるみ」の山田友美さん。

生活介護事業所「つどい」に月に一度訪問して利用者さんのカットを行っておられるということで、見学させていただきました♬

「○○さん、ちょっとドライヤーかけていい?」と聞いた後、つどいで活動中の利用者さんたちにも、「ドライヤー使いますね~!」と声をかけておられます。

なんだか二人とも楽しそう♬

カットを終え、手早く掃除と片づけを終えられたところでお話をお伺いしました。

訪問カットを始めた経緯を教えていただけますか?

叔母が理容師なんです。その影響で理容師の道へ進みました。理容室で仕事をしていたのですが、そのお店がなくなってしまって。。。

それがきっかけでヘルパー1級の資格を取りました。

私の妹が障害を持っているんです。福祉に関心を持ったのは、その影響もあると思います。

 生活介護事業所で働いていた時、私がもともと理容師だということを知った利用者さんの保護者の方に「カットしてもらえませんか?」とお願いされたのがきっかけです。この辺では訪問カット専門でやっている方はいらっしゃらないし、挑戦してみようと思いました。

障害のある方やご高齢の方をヘアカットする時に気をつけていること工夫されていることはありますか?使っている道具などはありますか?

タブレットは便利ですね。私がタブレットを持ち込んで、好きな動画を見てもらってる間にカットします。そうでないと自分でケープを外しちゃったり動いちゃったりすることもあるので。

あと、終わったらホメる!めちゃくちゃホメる笑!

高齢の方や麻痺のある方は、カットするときの体勢にも気をつけます。頭の向きを変えられない方もおられて、麻痺している側を下にしないように、とか考えます。

そこは ヘルパーさんの資格が活かせますね

そうですね。ある程度は分かるので。ご家族の方の力を借りながら一緒にやっています。

あとは、信頼関係ですね!いきなりハサミを持った人が現れたら怖いじゃないですか笑

どのようにして信頼関係を結ぶのですか?

あまり意識したことはないんですけど、カットする前にお話ししたり。心がけているというより自然にそんな感じになってます。

くるみさんの気さくで明るい感じがいいですね

はい。「今日は賑やかな人が来るよ!」とか「面白い人が来る」とか言われてるみたいです笑

あと、笑顔ですよね。マスクしてても目が笑ってないのはバレちゃいます。

何回切ったら終わりね、というふうに伝えてカットすることもあるんですか?

ありますね。あと時計を見せて、例えば 「8から9までの間に終わるよ、それまで頑張れる?」って聞いたり。本人が納得するというのが大切です。

絵カードとか写真も使いますが、それでピンと来ない子には実物を見せます。ハサミを見せて「大丈夫?」って聞いたり、ちょっとだけ自分の髪の毛を切って見せたりします。こうやってやるんだよ、みたいな。

私たちカットしてもらう側が気を付けること、準備をしておいた方がいいこととかありますか?

いや、、、ないですね。押さえて無理やりはやめてほしい、ぐらいですね。

保護者の方と情報共有しながら一緒にいい方法を考えていけるといいです。保護者の方は日ごろ本当に工夫しておられるんですよね。

保護者の方は短くしてほしいと希望しても、ご本人は切りたくない、ということもあるんですよね。お子さんとか当事者さんの気持ちを大事にしたいなと思うけれど、すぐ伸びちゃうので保護者の方のお気持ちも分かる。このくらいの長さにしましょう、って落としどころを見つけながら、カウンセリングします。

最初は短くさっぱりしてくれればいいって仰っていた方も、慣れてくるともっとこうしてほしいっていう希望が出てくるんです。それくらい髪型のことを考えてくれているのはありがたいです。何でもいいというわけではないと思うんです。

私たちがお店に行ってカットする場合は、そうじゃないですか。できることとできないことはどうしてもありますけど、基本的にはなるべく希望を聞いてあげたいと思います。

カットの後、お茶を入れてくれてお話しすることもあるのですが、髪の毛と関係のない話をされる方も結構おられて…笑
話す相手って案外少ないのかもしれません。療育の先生か家族か…。私もおしゃべり好きですし、勉強にもなるんです。

美容師(理容師)さんというのは、その方をずっと見続けてくれる、家族じゃないけど家族の次のような存在かもしれませんね

そうなんですよ。私もそのような存在になりたいな、と思っています。

カットが1回で終わらないこともありますか?それでも大丈夫ですか?

はい。急に動いちゃったり、落ち着きがなくなっちゃう時もあって、そういう時は一旦終わりにしたり。

保護者の方にはもうちょっとやってほしいっていう気持ちがあると思うんですけど、無理してカットするのは良くないですし。また頃合いを見計らって、1週間後とかでも来れるので。

代金は、その時は受け取らないとか、半分だけいただくとか、その時によってですかね。

先日行ったアンケートで、切った髪がチクチクするのが苦手とか、ケープを首に巻くのが苦手というご意見が多かったのですが、そういうことを感じますか?

そうですね、ありますね。

髪はこまめにはたいたりしますね。ベビーパウダーを使うと、切った髪がついても落ちやすいです。

首に巻くのが嫌いな子はカッパを着てやることもあります。ケープと比べるとそこまできつく締まらないんです。首を触られるのも嫌だっていう子もいますからね。前と後ろを反対に着て後ろでボタンを止めます。

エリアは、いすみ市が多いのですか?

今はいすみ市、長生郡市、市原市、東金市、御宿町にも行っています。

事業所さんが多いのですか?

事業所さんと、在宅の方と、半々 ぐらいですかね。

事業所さんには、営業…というか、最初にパンフレットと手書きの手紙を送りました。手書きの手紙、インパクトがあったみたいです笑

在宅で高齢の方だとケアマネさん経由で情報を得るみたいですね。私はお店も持ってないし、特に宣伝もしていないんです。

私は訪問カットをやっていますが、ご本人にとっては、このままでもいいけれど、できれば地域のお店に行ってカットしていただいた方がいいと思っているんです。後々のことを考えても、地域に出て行った方が、世界が広がるかな、と思います。

例えばタブレットがあればカットできる、このように声掛けしてもらえたらカットできる、というようなことがあると思うんですが、それをお店に伝えてもらってもいいと思うんです。

くるみさんに訪問カットを頼みたいと思ったら、どのように連絡をすれば良いですか?

インスタのDMか、電話かLINEでご連絡ください。

「訪問する床屋さん くるみ」

インタビューを終えて

「つどい」の職員さんがくるみさんにステキなパステルアートのはがきを持って来られました。利用者さんたちが作られたものだそうです。

くるみさんが、施設等へのお礼状として使っているのだそう。

年配の方は特に喜ばれるそうです。

はがきを見た方から、「つどいって ?」と聞かれるそうで、「障害を持った子たちが一生懸命作ってくれてるんですよ」ってお伝えしているそうです。

「もう一つの願いとして、こういう事業所があるんだということを知っていただくきっかけにしたいんです。」と想いを語ってくれました。

くるみさんが事業所に行くと、利用者の皆さんがくるみさんを見てご自分の髪の毛を触ったり、カットの順番だと思って近寄ってきたり、座って待ってみたりすることもあるそうです。

「嬉しいことですよね。私が髪の毛を切る人だってことを分かってくれていて、しかも受け入れてくれているって。」

「今回インタビューさせていただいたことで、今後依頼が増えるかもしれません。大丈夫でしょうか?」と確認したところ、

「はい、大丈夫です♪」と、嬉しいお返事をいただきました。

問い合わせ先

「訪問する床屋さん くるみ」

☎ 090-6566-1117
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