勉強会レポート「福祉サービスを知ろう」2023/10/11
開催のきっかけ
「療育ってうちの子が通っているところだけではないんですね。他にもあったんですね。」
あるシェア会での、ある保護者さんの言葉です。
その方のお子さんは、ある療育に通っていたそうです。最近になって他にも療育の事業所があることを初めて知ったということでした。
福祉関係者か、ご家族や身近に当事者がおられる方以外、なかなか福祉制度について知る機会はないものです。
しかも今の福祉サービスは私たち保護者が育った頃にはなかったものも。
そこで、福祉サービスの概要を知り、うまく活用できるように、この勉強会を開催しました。
勉強会の様子
今回は募集人数を限定し、ZOOMはつながず会場のみの開催でした。とてもいい勉強会だったので、皆さまにも可能な範囲でお伝えしたいと思います。
講師は「特定非営利活動法人つどい」理事長の藤野友希氏にお願いしました。
資料を作っていただき、夷隅地区の支援ガイドブック「コスモス」もご用意いただきました。
そして、参加者のお住まいの自治体ごとに、福祉ガイドブックもご用意いただきました。(自治体によって内容も微妙に違うし、提供の仕方も違うことを知りました)
会場は「つどい」をお借りしました。最後に少し紹介します。木を基調とした温かみのある雰囲気が「いいですね!」と皆さんから好評でした。
内容
「今、福祉サービスを使っている方はいらっしゃいますか?」という藤野さんの質問からスタート。
療育行ってるし…使ってるってことかな…なんて自信なさげに手を挙げた私たちに、
「お子さんいらっしゃれば、必ず使っていますよね。保育園もそう。児童手当も、医療費の助成も使ってますよね。」
と。
え? そういうことなのね!
すっかり私たちの心を掴んでしまうあたり、さすがだなと思ったのでした。
福祉サービスと言っても幅が広いので、今回は入り口として全体的な内容をお話してくださいました
- まず、発達が気になる、障がいのある方々が使える制度の説明(保健、福祉制度、教育、医療)
- 福祉制度について、種類について(児童福祉、障害福祉、高齢福祉、社会保障など)他
- その中の障害福祉について(障害福祉サービス、地域生活支援事業、障害者手帳の交付…等
- その中の障害福祉サービスについて
- 障害福祉サービスを利用したいと思ったらどうするか
今私たち親子が知りたいのは障害福祉サービスについてですが、福祉制度の入り口から順を追って説明してくださいました。
マーカーで色を付けたら逆に分かりにくくなってしまいましたか?…💦
福祉制度は申請主義であること
⇒申請をしなければ使えない
⇒本人等が制度を使いたいと思い、行政手続きをして始めて使える
⇒・・・・
勉強会資料より一部抜粋
そのために、制度を知って、手続きの方法を大体知っておくことが必要になるんですね。
本音は「もっと親身になってほしい」「どんなサービスがあるのか最初から分かっていれば」と思ったりするけど、人それぞれ状況も違うのである程度仕方のないことかもしれません。
自治体ごとにガイドブックを出している、ということで、紹介していただきました。自治体の子育てサイトに載せていたり、アプリを使っていたり、紙ベースのガイドブックだったり、さまざまな形で提供しているようです。最後に紹介します。
毎年のように情報は更新されるそうです。ウェブ上のものだとその点最新の情報が得られますね。また、手軽にいつでもスマホで確認できます。逆に画面が小さくて見にくいというデメリットも。
書かれている内容は複雑だったりするので、分かりにくい場合はやはり福祉課の窓口で直接聞く、ということになりそうです。
親切な方、よく情報を知っている方、話がわかりやすい方など、自分に合った職員の方とのめぐり合わせも結構大切なのかもしれません。
障害福祉サービスについて
勉強会資料より一部抜粋
- 相談支援のサービス⇒基本相談支援、地域相談支援、計画相談支援、障害児相談支援
- 障害児通所支援のサービス⇒児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援
- 訪問系のサービス⇒居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、短期入所、重度障害者等包括支援
- 日中活動系のサービス⇒・・・・
様々なサービスがある中、計画相談支援はサービスを使う上で必須。
計画相談支援を行う方は、「相談支援専門員」。よく「相談員さん」と呼ばれる方です。
実はこの「相談員さん」もシェア会でよく話題になるのですが、うちの子の担当はどなた???というママ達、多いです。
夷隅地域には9か所ほど相談員さんがおられる事業所があるそうです。地域によっては相談員さんの人数が足りず、福祉サービスを利用したくてもできないという場合があるとか…
また、お子さんの年齢によってライフステージが変わり、利用したい福祉サービスも変わってくるのだそうです。
子ども~大人まで一人の相談員さんに担当してもらわなければならない、ということはないそうです。相談員さんによって、例えば成人の情報を多く持っているなどそれぞれの強みがあるので、お子さんに合った方に変えることも可能だそうです。お子さんも年齢が上がれば、相談の主体が保護者⇒本人になることも。
障害福祉サービスへの流れ
・まずは相談
⇒ニーズの聞き取り
⇒計画作成・支給決定
⇒事業所見学・検討
⇒サービスの利用開始
勉強会資料より一部抜粋
まずは相談。。。といっても、どんな感じで、どこに相談すればいいのか…?
相談したい困りごとが具体的に分かっていればいいけれど、多すぎるし漠然とした心配ごとだったりして、いざ相談と言われてもどうすればいいのやら…?
っていうのをを相談する相手がいないんだよね…
相談先は、意外にもたくさんあるようで、
勉強会資料より一部抜粋
- 市町村の福祉課、保健センター(母子保健)
- 保健所(健康福祉センター)
- 児童相談所、子ども家庭支援センター(児童家庭支援センター)
- 障害福祉の事業所
- 病院、クリニック
- 中核地域生活支援センター
- 千葉県発達障害者支援センター(CAS)
資料にはありませんが、例えば通っている保育園の先生に相談してもいいのですね。ただ、福祉については詳しくないかもしれないので、「知っている方を紹介してください」と言ってみるのもひとつの方法だそうです。
児童家庭支援センターは、夷隅郡市、長生郡市では「子山こども家庭支援センター」「こどものひなた」
中核地域生活支援センターは、「夷隅ひなた」「長生ひなた」です。
最後に紹介します。
参加者さんからの質問
-
特別支援学校に入学するには、障害者手帳が必要なのでしょうか?
-
入学のために手帳が必要ということはない。よく「支援学校に行くなら手帳はあった方がいい」という話は聞くけれど、入学後に取る方もいる。正確な情報は大事。
手帳に代わるものを求められるかもしれないので、学校に問い合わせるのが確実。
手帳は自分を説明するツールと考えるとよいだろう。制度をうまく使うために活用する。例えばペースメーカーを入れている方や、人工股関節を入れている方などは見た目に理解されにくいので身体障害者手帳が便利。
IQ70以下で療育手帳取得となるが、基本的に取得は18歳まで。更新手続きが必要で、しないと失効する。知的に高い発達障害の方は精神障害者保健福祉手帳になるだろう。
障害年金の申請にも、手帳は必要ない。障害年金と障害者手帳は全く別の制度。
-
不登校の子どものいる家庭で使えるサービスはありますか?
-
学校へ行くこと、学習の保証については「千葉県版児童生徒・保護者のための不登校サポートガイド」という資料に載っている(最後に紹介します)。分量が多いので、必要な部分を探すのは大変かもしれない。
子どもが家にいることで保護者が就労できない等の問題については、日中一時支援事業、ヘルパー、ファミリーサポート等あるが、大人がメインだったり、障害について理解があるかどうか等、そういった問題はある。
いくつかのサービスを組み合わせて考えることになるだろう。
勉強会に参加して
気軽な雰囲気だったおかげ?進むにつれて参加者どうし仲良くなったように感じました。初対面なのに笑
参加者の皆さんからは、
「広域まで調べていただいて、準備が大変だったと思います」
「いろいろと質問してしまいました」
「とても分かりやすかった」
「参加に緊張しましたが、とても居心地がよく、非常に分かりやすくて今後のためにもまだまだ知っていきたいと思いました」
「モヤモヤしていたのがハッキリしました」
と感想をいただきました。
講師の方には保護者目線でお話していただき有難かったです。地域の実情もよくご存じでした。
制度の説明にとどまらず、相談するコツなど明日からすぐに使えそうな内容で、皆さんにとって有益な時間となったことを嬉しく思いました。
保護者である私たちの多くは、子どもに発達の心配があると知って初めて福祉の世界に触れます。未知の世界なので、知らないことばかり。ワードすら初めて耳にするものだったりします。
一生懸命講師の方の話を聞き、質問し、メモを取りました。まるで受験生…。
「この障害福祉分野では、専門家より保護者の皆さんが学んで制度を理解する、という逆転がずっと以前からある」
という講師の方の言葉が印象的でした。
子育てに、受験生のような勉強が必要なくなる時代が来ますように。でも今は発展途上。我が子のために保護者は必死に学ぶのです!
というわけで、第2弾を企画予定。
皆さん一緒に学びましょう!